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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
「海軍だって、一万トン以上の軍艦はつくれないことになっているんだが、この頃ジュラルミンと云ってアルミニュームより軽くて丈夫な新発見の軽金属をつかうことをやりはじめているんです。ドイツじゃ商船だって、ちゃんと規格があるし、航空路だって無意味にこんにちだけ拡げたわけじゃない」
ことしのメーデーにベルリンの労働者が殺されたとき、すべての新聞はそれを警官隊のしわざと報じた。メーデーの労働者群と警官隊とはつきもののように思う習慣がつけられている国の人々は、ひどいことだが警官のしたことと、そこにまだ何かゆるされるべき余地があるように印象づけられている。だが、津山進治郎が話してきかせるとおりなら、メーデーに労働者を射ち殺したのはつまりドイツの軍隊だったのだ。タンクをもって、機関銃をもって、ベルリンの労働者を掃射したのは、ドイツの軍隊だったのだ。国内でもう彼らは人殺しをはじめている。国際連盟が、ドイツ国内の治安という口実で、十五万人もの武装警官隊を許可したとき、ことしのメーデーに起ったようなことは、見ないふりする用意をもったのだ。津山進治郎が現にドイツの国内におこっているそういうおそろしいことには全く無頓着で、ドイツ再軍備のぬけめなさとしてばかり称讚するのを、伸子は言葉に出して反撥するより一層の注意ぶかい感情をもってきい