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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
また彼がキュバやハイチの発見によって主張したのは、シナ大陸や日本に到着したということであって、未知の新しい世界の発見ではなかった。一五〇三年は彼が依然として右の如き信念の下に地峡の沿岸でインドへ出る海峡を探していた時なのである。従って新大陸の発見者として、コロンブスではなく、アメリゴが登場したということは、理の当然であると云ってよい。
コロンブスの第四回航海はアメリゴの南アメリカ探検よりも一年遅れて一五〇二年五月の出発であった。四隻の快速船、百五十の乗員である。既にバスコ・ダ・ガマのインド航路打通の後であるから、コロンブスはキュバとパリアとの間を西航してそのインドへ達しようとしたのである。サント・ドミンゴでは上陸を許されなかった。彼は真西に航して七月三十日にホンデュラス湾端のグヮナハ島に着き、ユカタンの商人に逢って、在来この地方で接することの出来なかった高度文化の国のあることを知った。でもしその商人の故郷へ行けば、ユカタンの町々を見、メキシコを見出して、否応なしに新大陸を把捉する筈だったのである。しかしインドへの通路発見に凝り固まっているコロンブスは、西に向わずして東に向い、ホンデュラスの岸を廻って地峡を南下した。