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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
このように領主の義鎮はガゴたちをひきとめようとし、ガゴたちは山口行を急いだのであるが、結局十月になって先ずダルカセヴァが山口に行き、数日遅れてシルヴァもそのあとを追った。最後にガゴとフェルナンデスとが山口に着いたのは、十二月の末、クリスマスの近づいた頃であった。
山口では前年の内乱以後も、烈しい迫害と艱難とのなかで、トルレスとフェルナンデスとが信者を守っていた。やがて大友義長の大内氏相続の話もまとまり、晩春の頃には義長が山口の領主となった。そうしてガゴの一行が豊後に到着したとほぼ同じ頃に、山口の教会に対して、有名な大道寺建立の裁許状を与えた。この裁許状は一五五七年にビレラがインド及びヨーロッパのヤソ会に向けて送り、一五七〇年にはすでに復刻せられて広くヨーロッパ人の眼にふれたものである。
この一年の間に山口でトルレスのした仕事は決して少くはなかった。シャビエルが教化した若い琵琶法師もこの間に著しく育った。平家物語を暗記し、それを感情に訴えるように吟誦し得たその才能を以て、今やキリシタンの教を暗記し物語りをはじめたのである。その話術は甚だ巧みで、非常にトルレスの助けになった。