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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
自ら教義書を編纂して日本語に訳させ、領主大友義鎮に献じた。義鎮はそれを重臣たちの臨席している前で読ませ、大いに満足してその書に署名した。別に写本を作って置き署名本は重臣たちに読ませるというのである。
こういう教義書を作る際に、ガゴは、シャビエルの教義書飜訳以来その仕事にたずさわって来たフェルナンデスのほかに、パウロという日本人の信者の助けを藉りた。このパウロは、山口で改宗したパウロ・キョーゼンと同じように、仏教の教理に精通した人であった。改宗して以来は、仏教とキリスト教との相違点を明かに指摘し、仏の教えが偽りでありキリスト教の神の教えが真であることを主張して止まなかった。その説教は非常に巧みで、仏教を非難しても聴衆は怒らず、福音を説けば聴衆はその真理なることを納得した。惜しいことに三年後の一五五七年に病死してしまったが、ガゴはこの人を非常に高く評価し、ヤソ会士たらしめようとしていたようである。多分このパウロとの接触の結果であろう。彼は早くからキリスト教の用語の問題に注意を向けた。シャビエルの残して行った教義書は仏教の用語を使い過ぎている。それは虚偽の言葉を以て真理を説くにほかならない。