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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

従って誤解を生ずる。そういう有害な言葉は捨て去り、新らしい事物は新らしい言葉を以て現わさなくてはならぬ。こういう見地の下に彼は有害な言葉五十以上を見つけ出したのである。

身分あるものを教化しようというガゴの希望は、一五五四年には幾分かずつ充たされたように見える。府内に近い或る村を治めていた人が信者となり、ガゴをその村に招いて、妻子その他村人を受洗せしめた如き、その一例である。中でも目ぼしいのは、内府から九里か十里ほど離れた朽網郷の「大家族を有する一老人」の帰依であった。府内の一信者アントニオが朽網に行って、信仰の力で病気を癒したのが機縁となり、この「身分ある老人」を改宗せしめるに至ったのである。老人はルカスという洗礼名を受け、その地方の多数の人々を教化したが、翌一五五五年の初めには、ガゴを朽網へ招いた。ガゴは、その頃豊後にいたフェルナンデス、説教のうまい日本人パウロ、及び右のアントニオを伴って、四旬節の頃に朽網に赴いた。ルカスの妻、二人の息子、その他家族のみで六十人、家族の外のものを入れると二百六十人の人々が洗礼を受けた。この地方一帯の領主はケイミドノで、豊後の最も有力な大身二人の内の一人であったが、この人も説教を聞いて非常に喜び、豊後の国王の許しを得たらば信者になろうと言った。