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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
他の人々も、信者らも、それぞれ財物を携えてこれらの船に遁れた。純忠も約四十日の後にはともかくも領主権を回復し大村に帰った。そうして彼に叛いた地方の領主たちと対峙し得るに至った。
しかしトルレスが大きい望をかけていた横瀬浦――アジュダの聖母の港――の運命は、この内乱を以て終った。横瀬浦は騒ぎの当座直ちに焼かれたのではない。そこは抵抗せずに謀叛人に服従したし、また謀叛人たちもポルトガル船に留まることを求めた。純忠が大村を回復したとの報に接したときには、ポルトガル船は旗をあげ大砲を発射してこれを祝したし、横瀬浦を占領していた謀叛人も逃げ去っていた。フロイスも陸上で働いていた。しかし商船がシナに向って出帆しようとしていた頃に、横瀬浦に最も近い所にいた謀叛人の一味が、横瀬浦を奇襲して町や会堂や宣教師館を悉く焼き払ったのである。丁度その時には有馬の武士(島原の信者であろう)が二艘の船を率いて救援に来ていた。トルレスは敵が近づいたのを見てその船に乗り、大きい望をかけていた会堂や純真な信者の家が焼かれるのを見ていたのである。これは宣教師たちにとって非常な打撃であった。