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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
フロイスは日本に着いて間もなく横瀬浦の没落を自分の眼で見た。この事件は日本におけるキリスト教布教事業の運命をすでに象徴的に示しているということも出来る。その同じフロイスが、京都に入って半年後に、最初の公然たる禁教政策に出会ったのである。いずれもキリスト教が権力と結びつくや否や間もなく起ったことであった。
フロイスは京都に入って、半年後には転覆される運命にあった古い伝統的なものを、相当詳しく見ることが出来た。彼が京都に着いた翌日は陰暦の元旦であったが、ビレラは将軍への年賀を必要と認めていたので、彼もビレラに伴われて正月の十二日に将軍に謁した。そのために出来るだけの盛装をも工夫した。十年前にヌネスの連れて来た少年の持っていた金襴の飾りのある古い長袍、船室で使い古した毛氈、そういうものをフロイスは豊後から携えて来たが、ビレラはその毛氈で広袖の衣を作り、金襴の長袍と共にこれを着て、その上に更に美しい他の衣をつけた。フロイスはキモノの上にポルトガルの羅紗のマントを羽織った。進物はガラスの大鏡・琥珀・麝香などであった。こうして二人は輿に乗り、二十人ほどの信者に伴われて、多分今の二条城のあたりにあったと思われる足利将軍の宮殿に赴いた。