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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

日本の他の地方には、領主がキリシタンであって、しかも、それを理由とする内乱が起っていない、という所は、どこにもなかった。トルレスがこの事態をいかに重要視していたかが、この志岐会議に示されているといってよいであろう。

ダルメイダはいつも開拓者であった。一五六七年には長崎を開拓した。長崎の領主は大村純忠の臣下で、既にキリシタンとなっていたが、ダルメイダはその領地に行って多数の信者を作ったのである。勿論日本人のイルマンを伴って行ったであろうし、その訪問も幾度か回を重ねた。一五六八年秋の報告によると、身分あるものは悉く信者になり、平民の間にも五百人の信者が出来た。附近の村々からも信者が長崎の会堂に集まって来た。志岐会議の後、福田の港に行っていたビレラは、船が去ってから長崎に移ってその冬を過し、その間に三百人の信者を作った。恐らくその頃にもう長崎の地が福田よりも良い港であることは知られていたであろう。ポルトガルの船はこの後もなお二年ほど福田の港に来ているが、しかしビレラはこの冬、即ち一五六八年の末以来ずっと長崎に住み込み、トドス・サントスを建てて、長崎繁栄の基礎を築いたのである。