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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

トルレスはこの新来の神父を志岐で迎えた。その時にはダルメイダも来ていたが、トルレスがイルマンたちや童男童女の合唱隊を率い、ラテン語の讃美歌を唱いながら出迎えたときには、バラレッジョは歓喜のあまり茫然としてしまったという。会堂について信者たち一同と祈祷した時にも、このような遠隔の地で、イタリアにおいてさえ見られないものを見るという気持がした。志岐の教会が、短時日の間に急速に発達したことは、このバラレッジョの印象によっても察することが出来るであろう。

そこでトルレスは、この機会に、諸地方の神父やイルマンたちを志岐に招集し、日本におけるヤソ会の方針を協議することにした。口の津にはトルレスの去ったあとへビレラが来ていた。五島にはダルメイダの去ったあとへバウティスタが行っていた。豊後にはフィゲイレドがいた。平戸には、引きつづきコスタが滞在していたが、シャビエルに同伴して来た老年のフェルナンデスは、前の年に静かにこの地で世を去った。それらの神父たちは一五六八年の八月に志岐に集合して会議を開いた。この時一時的にもしろ、天草の志岐は日本布教の中心地となったのである。