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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

しかもその城は、当時盛んに行われていた山城とは異なり、平地の京都市中に、深い壕や堅固な城壁を以て、山城以上に防備厳重に築いたものであった。フロイスの言葉でいうと、それは「日本において曽て見たことのない石造」であった。信長はこの大土木工事のために近畿十四カ国の諸将を動員し、彼らをして、部下の武士たちや人足を率いて労役せしめた。総指揮者は信長自身で、日々工事場に臨んだ。通例は二万五千人、少ない日でも一万五千人の人々が彼の指揮の下に動いた。鐘の合図で、諸方の領主や武士たちが、各※(二の字点、1-2-22)その部下を率い、鍬を携え手車を押して集まってくる。そうして、堀を掘り土を運ぶ。石垣の工事のためには多量な石が必要であるから、或は近郊の山から運び、或は市中から集めてくる。或る領主は部下を率いて寺々を廻り、毎日一定数の石をそこから運び出した。石の仏像や台座の石などもばらばらにして車に積まれた。時には、石像の頸に縄をつけて工事場に引いて行くというようなことも行われた。そういう石で積み上げられたのが、高さ七八間、厚さもまた七八間、時には十間に及ぶような、巨大な城壁である。