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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

惟政が日乗に送った書簡には、信長が宣教師庇護の態度を取っていること、内裏にも将軍にも宣教師排斥の意志はないことを力説し、おのれの宣教師庇護の理由は遠来の外国人であるが故であって他意はないという風に穏やかに出たのであったが、日乗は前の主張を引込めないのみか、一層露骨に狂信者的な信仰闘争の態度を示して来た。信長や秀吉の書簡はほとんど眼中に置かないかのようであった。のみならずこの折衝の五六日後には、みずから信長に会うために岐阜に向って出発した。その用件は主として内裏の修復、公家の所領の処置に関するものであったと思われるが、フロイスたちは宣教師追放問題のためであろうと推測し、惟政に頼んでそれに対抗する措置をとったのであった。日乗は勿論岐阜においても信長の宣教師に対する態度を変更させることは出来なかったが、惟政に対する敵対心はそれによって一層高まり、キリスト教排斥の運動を惟政排斥の運動に転じたように見える。

異教徒である惟政は、フロイス庇護の運動を続けるうちに、漸次その信仰にも親しんで行った。フロイスが岐阜から帰って来た頃には、高槻に会堂を建築し、宣教師を自由に宿泊せしめようと考えていた。