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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
それが彼の考であった。それに反して、地球儀を持ち出させ、それに関してオルガンチノの与えた説明には、非常に感服したらしい。ヨーロッパから日本に来る旅程の説明などは特に彼を喜ばせた。それほどの旅行をするにはよほどの勇気と意志が必要である。神父たちがそのような冒険をしてここまでやってくるのは、よほどの大望があるからであろう、などとも云った。この疑問を解くためには世界の大勢を理解しなくてはならない。そうしてその衝動が彼のうちには動いていたのである。
安土城の造営はこの年の初夏に完成した。その機会に信長は一般民衆の参観を許した。無数の人々が見物に集まった。オルガンチノたちもまた安土に赴いた。信長が安土に会堂や宣教師館の建築用地を与えるであろうかどうかをためすためである。もし信長がこれらのものの建築を宣教師に命じたと日本国中に知れ亘ったならば、キリスト教の日本における地位は非常に確乎としたものになるであろう、そう彼らは考えた。
信長はオルガンチノたちの参観を喜び、非常に款待した。オルガンチノはすかさず、信長の開いたこの著名な町に会堂や宣教師館を建築したいと申出た。