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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

それは信長の方でも望むところであった。そこでいろいろと配慮した末、五月の末にキリシタン側の希望に従い、山下の新しい埋立地に広い地所を与えた。そこに壮麗な宣教師館や会堂が出来れば、この都市の装飾になる、と彼は云った。

信長は早速この建築を始めるようにと注文した。そうなるとこの建築は教会の名誉や信用にかかわる問題となった。キリシタンの大身はオルガンチノに早く始めるようにと迫った。高山右近なども、一切をひき受けるからと云って熱心にすすめた。幸いこの頃オルガンチノは、ワリニャーニの命によりセミナリヨを開設するために、京都に二階建の大きい家を数軒建てる予定で、材木の切り込みをすでに終ったところであった。で彼はこの材木を安土に運び、早速壮麗な宣教師館を建てることにきめた。大身らはその人夫を出した。高山右近だけでも千五百人であった。こうして材木と瓦とを運び、直ちに組み立てて行ったので、一カ月ほどで出来上ってしまった。しかもその家は安土の町では信長の城を除いては最も立派な建築で、第二階には三十四の座敷があったという。信長はそれを見て非常に満足し、オルガンチノに感謝の意を伝えさせた。