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はいいろのきょじん

灰色の巨人/魔法博士

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁

青空文庫

貴賓室に待たせてある真珠王に、このふいのできごとをしらせるためです。

エレベーターで二階におり、貴賓室にとびこみますと、ここにもまた、あっというようなことが、おこっていました。

貴賓室はからっぽだったのです。女給仕にたずねても、いつ出ていかれたのか、少しも知らないということでした。

「さては、あの真珠王は、にせものだったのかもしれないぞ。」

支配人は、まっさおになって電話器にとびつき、真珠王の東京の店をよびだしました。そして、真珠王が上京しておられるかどうかをききますと、先方の店員は、びっくりしたような声で、

「いいえ、社長はおくにのほうですよ。しばらく東京へはこられません。ちかく、こられるようなおはなしもありません。」

と、はっきり答えました。

これでもう、さっきの真珠王が、にせものだったことは、まちがいありません。松村という職長も、むろんにせものです。

支配人は真珠王に、一―二度しか会ったことがありませんので、にせものと、見やぶれなかったのです。まさか八十歳のにせものの老人が、やってこようとは夢にもおもわなかったので、ついだまされたのです。それにしても、このかえだまは、じつによくにていました。