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はいいろのきょじん

灰色の巨人/魔法博士

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁

青空文庫

笑う怪人

小さくなったときには、ネズミぐらいの大きさですから、ほんのわずかのすきまから、逃げだすことができます。いま、消えうせたのも、急にからだを小さくして、窓の鉄ごうしのすきまから、逃げだしたのかもしれません。

もし、からだをそんなに大きくしたり、小さくしたりするやつがあるとすれば、それは、ばけものです。しかし、このお話は怪談ではありません。おばけや幽霊のお話をしているのではありません。この奇々怪々のできごとには、なにかわけがあるのです。手品のようなしかけがあるのに、ちがいありません。では、それはどんな手品なのでしょうか。

笑う怪人

山下さんはいそいで、金庫の前にいってしらべてみましたが、金庫の扉はちゃんとしまっていて、かぎもかかったままでした。しかし、怪人は、たしかに盗みだしたといいました。では、あいつは魔法の力で、扉もひらかないで、中のものを取りだすことができたのでしょうか。

山下さんは、じぶんだけが知っている、暗号のダイヤルをまわして、扉をひらき、中をしらべてみました。

「なあんだ。聖書はちゃんと、ここにあるじゃないか。」

金庫の中の棚に、聖書をいれた、うすべったい桐の箱がおいてあります。