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はいいろのきょじん

灰色の巨人/魔法博士

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁

青空文庫

ヘリコプターは、あおあおと晴れわたった空を、だんだん、こちらへ近づいてきます。

ヘリコプターの操縦席には、賊の部下が乗っているのにちがいありません。怪老人が、警官にとりかこまれても、へいきでいたのは、これがあったからです。ヘリコプターで、逃げだすという、さいごの切りふだが、ちゃんと用意してあったからです。

しかし、怪老人は、いったいどうして、このヘリコプターに乗りこむのでしょう。ヘリコプターを、地上へおろすことはできません。そこには警官隊が、待ちかまえているからです。仏像のなかの一階にのこった三人の刑事は、賊の部下をとらえてから、近くの警察署へ、電話で、ことのしだいを、しらせましたので、はやくも十数名の警官隊が、仏像のまわりに、かけつけていたのです。

「ワーッ。」というときの声が、はるか下のほうから、わきあがってきました。警官隊が、仏像の頭の上の怪老人にむかって、くちぐちに、なにかわめいているのです。

怪老人は、それを見おろして、白ヒゲの中のまっかな口を、いっぱいにひらいて、カラカラと笑いました。そして、右の手をひらいて、おやゆびを鼻のあたまにつけ、五本の指をヒラヒラと動かして見せました。