輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
はいいろのきょじん
灰色の巨人/魔法博士
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁
不二夫君は、ふと、うしろのほうで、なにか動いているような感じがして、ヒョイと、そのほうをふりむきました。
空地のむこうのすみに、水のかれた古井戸があります。それには、子どもの胸ぐらいの高さのしっくいでぬりかためた、丸い井戸側がついているので、人が落ちこむような心配はありません。それで山下さんのうちでも、うずめもしないで、そのままにしてあったのです。
その青ゴケのはえた、古い井戸側の中から、なにかチラッと、のぞいたものがあるのです。ちょっとしか見えないので、何者だかわかりません。動物ではないようです。なにかしら、ピカピカ光る金色のものでした。その金色のものが、すこしずつ、あらわれてくるのです。
不二夫君は、ゾーッとして、その場から動けなくなってしまいました。ちょうどそのとき、大きな木のみきのかげにいましたので、そのみきにかくれて、古井戸の方を見つめました。
井戸の中からは、奇怪な金色のものが、だんだん大きく、姿をあらわしていました。
あっ! 顔だ。金色の顔です。話にきいている、黄金仮面みたいな金色の顔です。ほそい目、三日月がたの口、あの口から、もし、タラタラと血がながれたら! とおもうと、不二夫君は、からだがツーンとしびれて、背中をつめたいものが、はいあがってくるような気がしました。