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はいいろのきょじん

灰色の巨人/魔法博士

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁

青空文庫

「音をさせちゃいけないよ。」

小林君がうしろをむいて、ささやきました。三人は、草の中にかがみこんで、はうようにして、ソロソロと進んでいきます。

二十メートルも歩いたでしょうか。ふと向こうをみると、ちょっと草のなくなった地面があって、そこに防空壕の入口のようなまっ暗な穴が、ひらいていました。広い東京には二十年まえの防空壕が、そのまま残っているところもないではありません。

「あのふたりは、この穴の中へ、はいっていったのだろうか。」

井上君が、ささやきました。あたりをみまわしても、じいさんと黄金怪人の姿は、どこにもありません。防空壕にはいったとしか考えられないのです。

すると、そのとき、まっ暗な穴の中に、チラッと白い光が見えました。だれかが、マッチをすったのでしょうか、それとも、懐中電灯をてらしているのでしょうか。しかし、その光はチラッと見えたばかりで、すぐ消えてしまいました。

これで、穴の中に、何者かがいることがたしかになりました。小林君はそこへはっていって、そっと中をのぞいてみましたが、まっ暗でなにもわかりません。穴の中の遠くの方から、なにか人のうごめくような、かすかな音が聞こえてくるばかりです。