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はいいろのきょじん

灰色の巨人/魔法博士

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁

青空文庫

でした。(そのお話は「黄金仮面」という本に書いています。)

東京都民は、新聞やラジオで、そのことを知っていましたので、この真珠塔「志摩の女王」は、ちんれつ室第一の人気ものとなり、人びとは、部屋にはいると、まず真珠塔をさがし、そのガラス箱の前に立って、美しい宝塔に見とれたまま、いつまでも動かないのでした。

ある朝のことです。デパートが、まだげんかんの大戸を開いたばかりのころ、デパートの事務所へ、「志摩の女王」の出品者である有名な真珠王その人が、ひとりの若い背広の男をつれてたずねてきました。デパートではおどろいて、貴賓室に通し、支配人がもてなしをしました。

「きのう上京したので、おたずねしました。じつは、ちょっと、おねがいがあるのでね。」

和服すがたの真珠王は、八十歳の老人とは思われぬ元気な声で、にこにこしながら、いうのでした。

「はい、どういうご用でございましょうか。」

支配人が、うやうやしくたずねました。

「じつは、あの真珠塔の真珠が、ひとつぶだけきずになっているのです。出品をいそがれたので、ついそのまま出してしまいましたが、どうも気になってしかたがない。