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はいいろのきょじん
灰色の巨人/魔法博士
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁
それで、こんど上京するのをさいわい、うでききの職人をつれてきました。これが松村という、わしの工場のだいじな職長です。これに、そのきずついた真珠を、とりかえさせようと思いましてね。……使いのものでも用はたりるが、わしがこないと、ご信用がないだろうと思ってね。じつは、わざわざ、出むいてきたわけです。」
「では、ここでおなおしくださるのですか。」
「そうです。この部屋で、あなたの目のまえで、なおさせます。ただ、真珠塔を、ここまで持ってくればよいのです。松村君、この支配人さんといっしょに、ちんれつ室へいって、塔をここへはこびなさい。」
そこで、支配人は、松村という真珠職人をつれて、五階のちんれつ室へいそぎました。
まだ大戸をひらいてまもなくですから、ちんれつ室には、客のすがたはひとりもなく、出入り口の番をする店員たちが立っているばかりです。支配人は店員たちに、
「ちょっと修繕をするので、真珠塔を貴賓室まで持ちだすから。」
とことわって、ポケットから出したかぎで、ガラスだなの戸をひらきました。
職長の松村は、そこから、ビロードのケースごと真珠塔をとりだし、だいじそうに両手にさげて、支配人といっしょにちんれつ室を出ました。