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はいいろのきょじん

灰色の巨人/魔法博士

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁

青空文庫

」

暗やみのなかで、みんないすから立って、うろうろしていました。ぶっつかりあうものもあります。

「あっ、いたぞっ。子どもだ。小さな子どもだ。」

また、だれかが、さけびました。

「みなさん、しずかにしてください。宝冠はだいじょうぶですか。どなたが、お持ちですか。」

だれもこたえません。みながいすを立ったので、宝冠の箱が、どのへんにあったか、けんとうもつかないのです。

そのとき、園井さんが、やっとスイッチをさぐりあてて、パチンと、電灯をつけました。部屋のなかが、まぶしいほど明るくなりました。

みんなの目が、テーブルの上を見ました。宝冠の箱は、かげもかたちもありません。二―三人のひとが、テーブルやいすの下をのぞきました。なにもありません。にじの宝冠は、魔法のように消えうせてしまったのです。

「さっき、子どもがいると、おっしゃったかたがありましたが、ほんとうに、そんなものが、いたのですか。」

園井さんが、みんなの顔を見まわして、たずねました。

「たしかにいました。わたしの腰くらいしかない、小さな子どもでした。」

「あたしも、その子どもにさわられましたわ。どうしたんでしょうね。