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はいいろのきょじん
灰色の巨人/魔法博士
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁
ふたりは、まだ客のまばらな五階の売り場を通りすぎ、大階段のところへきました。支配人はその階段を、下の貴賓室の方へおりていきます。あとにしたがった松村も、その方へおりるのかと見ていますと、かれはとつぜん、上へのぼる階段にかけより、あっと思うまにおそろしいはやさで、そこをかけあがっていくのです。支配人は、五―六段おりたところで、やっとそれに気づきました。
「あっ、松村さん、ちがう、ちがう、上じゃありません。こっちですよ。」
おどろいて五―六段上にもどって、うしろからよびかけましたが、松村はふりむきもしないで、もう上の階段をのぼりきって、かどをまがり、姿が見えなくなってしまいました。
「おうい、そっちじゃないというのに。」
支配人は顔色をかえて、松村を追って階段をかけのぼりました。しかし、あいては、じつにすばやくて、支配人が六階にのぼったときには、もう七階にいました。そこは屋上なのです。
「おうい、みんなきてくれ。真珠塔を持った人を、つかまえてくれ!」
どなりながら屋上に出ました。その声をききつけて、店員たちが集まってきます。五階の警戒にあたっていた元刑事たちも、おくればせにかけつけてきました。