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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
線上閱讀福沢 諭吉《福翁自伝(ふくおうじでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,912 字 · 402 頁
松木、五代、埼玉郡に潜む
ば死刑と云うことで以て事が収まった。その談判の席には大久保市蔵は出ない。岩下と重野の両人、それから幕府の外国方から鵜飼弥市、監察方から斎藤金吾と云う人が立会い、いよ/\書面を取換して事のすっかり収まったのが、文久三年の十一月の朔日か二日頃であった。
松木、五代、埼玉郡に潜む扨夫れから私の気になる松木、即ち寺島の話は斯う云う次第である。松木、五代が薩摩の船から英の軍艦に乗移た所が、清水が居たので松木も驚いた。清水と云う男は以前江戸にて英書の不審を松木に聞て居たこともある至極懇意な間柄で、その清水が英の軍艦に居るから松木の驚くも無理はない。「イヤ如何して此処に居るか。「お前さんは如何して又此処に来たと云うような訳けで、大変好都合であった。ソコで横浜に来たけれども、この儘に何時迄もこの船の中に居られるものでない。マア如何かして上陸したい、と云うその事に付ては清水卯三郎が一切引受ける。それは松木と五代は極々日蔭者で、青天白日の身と云うのは清水一人、そこで清水が先ず横浜に上て、夫れから亜米利加人のヴエンリートと云う人にその話をした所が、如何でも周旋しよう、兎に角に艀船に乗て神奈川の方に上る趣向に為よう、その船も何も世話をして遣ろうと云うことになった。