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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
線上閱讀福沢 諭吉《福翁自伝(ふくおうじでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,912 字 · 402 頁
穢多に革細工
「それは構わぬ。御同前に此身等が政府の御用をすると云うのは、何も人物がエライと云て用いられて居るのではない、是れは横文字を知て居るからと云うに過ぎない。
穢多に革細工之を喩えば革細工だから穢多にさせると云うと同じ事で、マア御同前は雪駄直しを見たような者だ。幕府の殿様方は汚い事が出来ない、幸い此処に革細工をする奴が居るからソレにさせろと云うので、デイ/\が大きな屋敷の御出入になったのと少しも変ったことはない。ソレに遠慮会釈も糸瓜も要るものか、颯々と打毀して遣れ。只此処で困るのは、誰が之を打毀すか、ソレに当惑して居る。乃公等は自分でその先棒になろうとは思わぬ。誰が之を打毀すか、之が大問題である。今の世間を見るに、之を毀そうと云て騒いで居るのは所謂浮浪の徒、即ち長州とか薩州とか云う攘夷藩の浪人共であるが、若しも彼の浪人共が天下を自由にするようになったら、ソレこそ徳川政府の攘夷に上塗りをする奴じゃないか。ソレよりもマダ今の幕府の方が勝しだ。けれども如何したって幕府は早晩倒さなければならぬ、唯差当り倒す人間がないから仕方なしに見て居るのだ。困た話ではないかなどゝ、且つ飲み且つ語り、部屋の中とは云いながら、人の出入りを止めるでもなし、傍若無人、大きな声でドシ/\論じて居たのだから、爾う云うような話もチラホラ重役の耳に