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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
線上閱讀福沢 諭吉《福翁自伝(ふくおうじでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,912 字 · 402 頁
新政府の御用召
大槻の倅なども内々見舞に来て、官軍と賊軍と塾の中で混り合て、朝敵藩の病人を看病して居ながら、何も風波もなければ苦味もない。ソンナ事が塾の安全であった訳けでしょう。真実平等区別なし、疑わんとするも疑うべき種がない。一方には脱走して賊軍に投ずるがあるかと思えば、一方にはチャンと塾に這入て居る官軍もあると云うような不思議な次第柄で、斯う云う事は造たのじゃ出来ぬ、装うても出来ぬ、私は腹の底から偏頗な考がない、少しも幕府の事を感服しなければ、官軍の事をも感服しない、戦争するなら銘々勝手にしろと、裏も表もなくその趣意で貫いて居たから、私の身も塾も危い所を無難に過したことゝ思う。
新政府の御用召夫れからいよ/\王政維新と定まって、大阪に明治政府の仮政府が出来て、その仮政府から命令が下た。御用があるから出て来いと一番始めに沙汰のあったのが、神田孝平と柳川春三と私と三人。所が柳川春三はドウも大阪に行くのは嫌だ、だから命は奉ずるけれども御用があればドウゾ江戸に居て勤めたいと云う注文。神田孝平は命に応じて行くと云う。私は一も二もなく病気で出られませぬと断り。その後大阪の仮政府は江戸に遷て来て、江戸の新政府から又御用召で度々呼びに来ましたけれども、始終断る計り。