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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
線上閱讀福沢 諭吉《福翁自伝(ふくおうじでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,912 字 · 402 頁
日本国人の大胆
船中はもうビショ/\で、カラリとした天気は三十七日の間に四日か五日あったと思います。誠に船の中は大変な混雑であった(桑港着船の上、艦長の奮発で水夫共に長靴を一足ずつ買て遣て夫れから大に体裁が好くなった)。
日本国人の大胆併しこの航海に就ては大に日本の為めに誇ることがある、と云うのは抑も日本の人が始めて蒸気船なるものを見たのは嘉永六年、航海を学び始めたのは安政二年の事で、安政二年に長崎に於て和蘭人から伝習したのが抑も事の始まりで、その業成て外国に船を乗出そうと云うことを決したのは安政六年の冬、即ち目に蒸気船を見てから足掛け七年目、航海術の伝習を始めてから五年目にして、夫れで万延元年の正月に出帆しようと云うその時、少しも他人の手を藉らずに出掛けて行こうと決断したその勇気と云いその伎倆と云い、是れだけは日本国の名誉として、世界に誇るに足るべき事実だろうと思う。前にも申した通り、航海中は一切外国人の甲比丹ブルックの助力は仮らないと云うので、測量するにも日本人自身で測量する。亜米利加の人も亦自分で測量して居る。互に測量したものを後で見合せる丈けの話で、決して亜米利加人に助けて貰うと云うことは一寸でもなかった。