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ふくおうじでん

福翁自伝

福沢 諭吉

線上閱讀福沢 諭吉《福翁自伝(ふくおうじでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,912 字 · 402 頁

青空文庫

簿記法を飜訳して簿記を見るに面倒なり

及ばず、何は扨置き早速朋友を連れて築地の料理茶屋に行て、思うさま酒を飲ませたことがある。

簿記法を飜訳して簿記を見るに面倒なり先ずこの位なことで、その癖私は維新後早く帳合之法と云う簿記法の書を飜訳して、今日世の中にある簿記の書は皆私の訳例に傚うて書たものである。ダカラ私は簿記の黒人でなければならぬ、所が読書家の考と商売人の考とは別のものと見えて、私はこの簿記法を実地に活用することが出来ぬのみか、他人の記した帳簿を見ても甚だ受取が悪い。ウンと考えれば固より分らぬことはない、屹と分るけれども、唯面倒臭くてソンな事をして居る気がないから、塾の会計とか新聞社の勘定とか、何か入組んだ金の事はみんな人任せにして、自分は唯その総体の締て何々と云う数を見る計り。こんな事で商売の出来ないのは私も知て居る。例えば塾の書生などが学費金を持て来て、毎月入用だけ請取りたいから預けて置きたいと云う者がある。今の貴族院議員の滝口吉良なども、先年書生の時はその中の一人で、何百円か私の処に預けてあったが、私はその金をチャンと箪笥の袖斗に入れて置て、毎月取りに来れば十円でも十五円でも入用だけ渡して、その残りは又紙に包んで仕舞て置く。