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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
線上閱讀福沢 諭吉《福翁自伝(ふくおうじでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,912 字 · 402 頁
難波橋から小皿を投ず
同窓生互に夫れを手柄のようにして居るから、送別会などゝ云う大会のときには穫物も多い。中には昨夜の会で団扇の大きなのを背中に入れて帰る者もあれば、平たい大皿を懐中し吸物椀の蓋を袂にする者もある。又或る奴は、君達がそんな半端物を挙げて来るのはまだ拙ない。乃公の獲物を拝見し給えと云て、小皿を十人前揃えて手拭に包んで来たこともある。今思えば是れは茶屋でもトックに知て居ながら黙って通して、実はその盗品の勘定も払の内に這入て居るに相違ない、毎度の事でお極りの盗坊だから。
難波橋から小皿を投ずその小皿に縁のある一奇談は、或る夏の事である、夜十時過ぎになって酒が飲みたくなって、嗚呼飲みたいと一人が云うと、僕も爾うだと云う者が直に四、五人出来た。所がチャント門限があって出ることが出来ぬから、当直の門番を脅迫して無理に開けさして、鍋島の浜と云う納涼の葭簀張で、不味いけれども芋蛸汁か何かで安い酒を飲で、帰りに例の通りに小皿を五、六枚挙げて来た。夜十二時過でもあったか、難波橋の上に来たら、下流の方で茶船に乗てジャラ/\三味線を鳴らして騒いで居る奴がある。「あんな事をして居やがる。