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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
線上閱讀福沢 諭吉《福翁自伝(ふくおうじでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,912 字 · 402 頁
所でアドミラルが如何云うかソレに聞て見なければならぬので、アドミラルにその事を話すと至極寛大で、上陸差支なしと云うので、ソレカラ一切万事、清水とヴエンリートと諜し合せて、落人両人の者は夜分窃にその艀船に乗り移り、神奈川以東の海岸から上る積りに用意した所が、その時には横浜から江戸に来る街道一町か二町目毎に今の巡査交番所見たようなものがずっと建て居て、一人でも径しいものは通行を咎めると云うことになって居るから、なか/\大小などを挟して行かれるものでない。ソコで大小も陣笠も一切の物はヴエンリートの家に預けて、丸で船頭か百姓のような風をして、小舟に乗込み、舟は段々東に下てとう/\羽根田の浜から上陸して、ソレカラ道中は忍び忍んで江戸に這入るとした所で、マダ幕府の探偵が甚だ恐ろしい。只の宿屋には泊られないから、江戸に這入たらば堀留の鈴木と云う船宿に清水が先へ行て待て居るから其処へ来いと云う約束がしてある。ソコで両人は夜中勝手も知れぬ海浜に上陸して、探り/″\に江戸の方に向て足を進める中に夜が明けて仕舞い、コリャ大変と夫れから駕籠に乗て面を隠して堀留の船宿に来たのがその翌日の昼であった。