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はいいろのきょじん

灰色の巨人/魔法博士

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁

青空文庫

山下さんはその桐の箱をとりだして、中を見ますと、聖書は一枚もなくなっていないことが、わかりました。

「あいつ、盗めなかったもんだから、まけおしみをいって、逃げだしたんだな。」

山下さんは、そばにいる少年探偵団員たちの顔を見て笑ってみせました。少年たちも、ざまをみろといわぬばかりに、声をそろえて笑いました。

すると、その笑い声が、まだ消えないうちに、またしても、とつぜん、蔵の中が、まっ暗になってしまいました。だれかが、スイッチをきったのです。

黄金怪人は、あんなことをいって、ゆだんさせておいて、まだ、蔵の中にかくれていたのかもしれません。それをおもうと、みんなゾーッとして、シーンとしずまりかえってしまいました。スイッチのところへいくのも、恐ろしいのです。みんなが、ためらっているあいだに、だれかスイッチをおしたのか、カチッと音がして、ふたたび電灯がつきました。見ると金庫の向こうがわに、あの金色のものすごいやつが、ヌーッと立ちはだかっているではありませんか。

怪人はそこに立ちはだかったまま、恐ろしい顔で、だまってこちらをにらんでいます。そして山下さんや少年たちと怪人との、息づまるようなにらみあいが、一分ほどもつづきました。