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はいいろのきょじん

灰色の巨人/魔法博士

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁

青空文庫

「キャーッ。」

上の方から、悲鳴がきこえました。もう五メートルも、縄を登った子どもが、大ダンビラの男を見て、あまりの恐ろしさに、死にものぐるいの声で、叫んだのです。そして、にわかに手足をはやめて、逃げるように、縄を登るのでした。

しかし縄は、洞窟のてんじょうで、いきどまりになっています。そこへ、追いつめられたら、もう、どうすることもできないではありませんか。

大ダンビラを口にくわえた男は、子どものあとから、ゆうゆうと登っていきます。いくら逃げたって、だめなことを、ちゃんと知っているのでしょう。

三少年は、それを見て、胸がドキドキしてきました。あの恐ろしい男は、赤白だんだらの小さい子どもを、殺してしまうのではないかとおもうと、気が気ではありません。井上君などは、とびだしていって、下から男の足をひっぱってやろうかと思いましたが、もう、まにあいません。男も縄のぼりが上手で、たちまち、四―五メートル登ってしまったからです。

子どものほうは、もう十メートルも、登ったでしょうか。洞窟のてんじょうは暗いので、下からは見えなくなってしまいました。

手に汗をにぎって、見あげていますと、ダンビラの男も、てんじょうのやみのなかへ、姿が消えていきました。