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はいいろのきょじん

灰色の巨人/魔法博士

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁

青空文庫

それに、窓というものが、ひとつもありません。てんじょうは板ばりになっていて、その上が二階らしいのですが、二階への階段は、まがったコンクリート壁にそって、鉄ばしごのようなものが、ななめにかかっています。まるで、コンクリートの壁を、ヘビがはっているような感じです。

そのいびつな広い部屋のまわりには、宝石店のショーウィンドーのようなガラスだなが、ずらっとならんでいます。遠くて、よくは見えませんが、そのガラスだなの中には、赤や青やむらさきのビロードのケースにはいった金銀の美術品が、いっぱいかざってあります。それには、みな宝石がちりばめてあるらしく、キラキラと、美しくひかっているのです。宝石の首かざりや、うでわなども、ならべてあります。

じつにふしぎな家です。しかし、怪盗「灰色の巨人」のほんきょには、いかにも、ふさわしい場所です。怪盗は、じぶんの美術館にかざるために、「にじの宝冠」がほしいのだといっていましたが、たしかに、ここは、りっぱな美術館でした。

「その箱が、にじの宝冠ですか。お見せなさい。」

白ヒゲの老人が、しわがれた、おもおもしい声でいいました。