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はいいろのきょじん

灰色の巨人/魔法博士

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁

青空文庫

ほとんど、それとどうじでした。長い鉄ばしごが、おそろしい音をたてて、サーッと、たおれてしまったのです。

そのとき、てんじょうの穴から、怪老人の顔がのぞいて、白ヒゲのなかの、まっかなくちびるが大きくひらき、気ちがいのような、笑いごえが、ひびいてきました。

「ワハハハ……、ざまあみろ。子どもがかくしてあるなんて、でたらめだよ。ここが、おれのさいごの逃げ道さ。これから、おれは天国へのぼるんだ。きみたちが、どんなにくやしがっても、ついてこられない。高い高い空へ、のぼるんだ。」

そして、老人の顔が、ぱっとひっこんだかとおもうと、パタンと音がして、てんじょうの穴が、まっ暗になってしまいました。そとから、ふたをしめたのです。

そこは大観音像の肩の上でした。怪老人は、コンクリートの大きな肩の上を、ヒョイヒョイと歩いて、仏像の巨大な頭へと、よじのぼりはじめました。

観音さまの頭のかぶりものに、うねうねしたひだがあるので、それを足ばにしてのぼるのですが、垂直のがけですから、まるで登山のロック=クライミングみたいなものです。よほど、冒険になれた人でなければ、のぼれるものではありません。