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はいいろのきょじん

灰色の巨人/魔法博士

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁

青空文庫

立って歩いているから、人間にちがいありません。ばけものでも、動物でもないのです。

「だれだっ。きみたちは、だれだっ?」

井上君が、ノロちゃんをかばうようにして、どなりました。

「だれでもない。おれたちは、魔法博士の弟子だ。きみたちふたりを、これから悪魔の国へつれていくのだ。」

黒いやつのひとりが、ぶきみな声でこたえました。

遠くの街灯の光で、三人の黒んぼうの姿が、かすかに見えます。三人とも、ぴったり身についた、まっ黒なシャツとズボン下をはき、頭から三角の黒覆面をかぶっています。その目と口のところだけが、くりぬいてあって、そこから、にぶく光る目がのぞいています。

「たすけてくれえ……、映画のおじさん! 自動車のおじさん! はやく、はやく、たすけてえ……。」

ノロちゃんが、死にものぐるいの声をだしました。

すると、向こうの自動車の中から、まっ黒なやつがあらわれてきました。こちらの三人と同じ姿です。

「ウフフフ、わしが映画のおじさんだよ。だが、きみたちのみかたじゃない。わしこそ、悪魔の国のあるじの魔法博士というものじゃ。」

ああ、映画のおじさんと思っていた男が、じつは、悪魔の国の首領だったのです。