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はいいろのきょじん
灰色の巨人/魔法博士
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《灰色の巨人/魔法博士(はいいろのきょじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 156,085 字 · 312 頁
胃ぶくろは、すきとおっていないので、中はまっ暗です。流れおちて、もがきながら、立ちあがってみますと、水はひざまでもなく、もうおし流される心配もないようです。三人は、たがいにさぐりよって、ひとかたまりになり、やみのなかで、ひしと、だきあっていました。
でも、いまにも、にがい胃液が、どっと流れだしてきて、とかされてしまうのではないかとおもうと、生きたここちもないのです。
そのとき、やみの中に、パチャ、パチャと水の音がしました。だれかが、水の中を歩いているようすです。ではここには、三人の少年のほかに、まだ何者かがいるのでしょうか。
巨人の胃ぶくろには、えたいのしれない虫のようなものが、住んでいるのではないでしょうか。虫といっても、巨人の胎内のことですから、けだもののように大きな虫かもしれません。それが、水音をたてて、だんだんこちらへ近づいてきます。まっ暗でなにも見えませんが、けっして小さなやつではないようです。
「ウフフフフ……。」
そのものが、みょうな声で笑いました。
「どうだね、胎内くぐりは、おもしろかったかね。」
それは人間のことばでした。すると、ここには、虫ではなくて、人間が住んでいるのでしょうか。