Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
額に冷汗が出ている。R大学の予科にも受けたのだけれど、まさか、――でも、いや、どうだっていいんだ。はいったって、どうせ、籍を置くだけなんだ。卒業する気はねえんだ。僕は、明日から自活するんだ。去年の夏休みの直前から、僕の覚悟は出来ていたんだ。もう、有閑階級はいやだ。その有閑階級にぺったり寄食していた僕はまあ、なんてみじめな野郎だったんでしょう。富める者の神の国に入るよりは、駱駝の針の孔を通るかた反って易し。ほんにいい機会じゃござんせんか。明日からは、もう家の世話にはなりませぬ。ああ荒天よ! 魂よ! あすから僕の世渡りだ。また、眼前に幻影が浮ぶ。
おそろしく鮮やかな緑だ。泉が湧く。こんこんと湧いて緑の草の上を流れる。チャプチャプと水の音が聞える。鳥が飛び立つ。
消える。僕のテエブルの隣りに、醜い顔の洋装の娘が、からのコーヒー茶碗を前に置いて、ぼんやり坐っている。コンパクトを取り出して、鼻の頭をたたいた。その時の表情は、白痴のようであった。けれども脚は、ほっそりしていて、絹の靴下は、やけに薄い。男が来た。ポマードを顔にまで塗ってるみたいな男だ。女は、にっと笑って立ち上った。