Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
2
「ひばりが、一ばんいいな。」
うれしく無かった。何を言っていやがると思った。とってつけたようなそんなお世辞を言えるのは、マア坊が僕を、いい加減に思っている証拠だ。本当に、一ばんいいと思っていたら、そんなにはっきり、ぬけぬけと言えるものではない。僕にだってそれくらいの機微は、わかっているさ。僕は、黙っていた。すると、また小声で、
「なやみが、あるのよ。」
と来た。僕は、びっくりした。なんてまあ、まずい事を言うのだろう。うんざりした。「鈴虫が鳴いている」が、これで完全にマイナスになった。低能なんじゃないかしらと疑った。まえからどうも、あの笑い方は白痴的だと思っていたが、さては、ほんものであったか、などと考えているうちに、気持も軽くなって、
「どんな悩みが、あるんだい。」と馬鹿にし切った口調で尋ねることが出来た。
2
答えない。かすかに鼻をすすった。横目でそっと見ると、なんだ、かれは泣いているのだ。いよいよ僕は呆れた。よく笑うひとは、またよく泣くひとではないか、などときのう僕は君に書いてやったが、そんな出鱈目の予言が、あまりあっけなく眼前に実現せられているのを見ると、かえってこっちが気抜けしていやになる。