Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
マア坊
1
船はするする岸壁から離れる。
「死はよいものだ。」
それはもう熟練の航海者の余裕にも似ていないか。新しい男には、死生に関する感傷は無いんだ。
九月八日
マア坊
1
さっそくの御返事、なつかしく拝読しました。こないだ、僕は、「死はよいものだ」などという、ちょっと誤解を招き易いようなあぶない言葉を書き送ったが、それに対して君は、いちぶも思い違いするところなく、正確に僕の感じを受取ってくれた様子で、実にうれしく思った。やっぱり、時代、という事を考えずには居られない。あの、死に対する平静の気持は、一時代まえの人たちには、どうしても理解できないのではあるまいか。「いまの青年は誰でも死と隣り合せの生活をして来ました。敢えて、結核患者に限りませぬ。もう僕たちの命は、或るお方にささげてしまっていたのです。僕たちのものではありませぬ。それゆえ、僕たちは、その所謂天意の船に、何の躊躇も無く気軽に身をゆだねる事が出来るのです。これは新しい世紀の新しい勇気の形式です。船は、板一まい下は地獄と昔からきまっていますが、しかし、僕たちには不思議にそれが気にならない。」という君のお手紙の言葉には、かえってこっちが一本やられた形です。