Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
ついたちと二日の、あの地獄の狂乱が、いまでは夢のように思われる。二日の朝、未明に起きて、トランクに身のまわりのものをつめ、こっそり家を脱け出した。お金は、ついたちの朝にもらった四月分のお小遣い二十円が、まだ半分以上も残っている。それでも心細いので、兄さんから借りているストップ・ウォッチと、僕の腕時計と二つ忘れずに持って出た。二つ一緒だと、百円くらいには売れるかも知れない。外は、ひどい霧だった。四谷見附まで来たら、しらじらと夜が明けはじめた。省線に乗った。横浜。なぜ横浜までの切符を買ったのか、僕にも、うまく説明がつかない。とにかくそこへ行くと、いい運が待っているような気がした。けれども何も無かった。横浜の公園のベンチに、僕はひるごろまで坐っていた。港の汽船を眺めていた。鴎が飛んでいた。公園の売店から、パンを買ってたべた。それからまたトランクをさげて、桜木町の駅に行き、大船までの切符を買った。食えなくなったら映画俳優になるんだ。僕は去年、たぬきという数学の教師に侮辱されて、あっさり学校をよそうとしたが、その時にも、よし映画俳優になって自活してやると決意した。