Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
「無いんだ。」
二人、笑った。
「楽に話そう。実はね、兄さんも、先月、大学のほうは、よした。いつまでも、むだに授業科ばかり納めているのも意味がないしね。これから十年計画で、なんとかして、いい小説を書いてみるつもりだ。いま迄、書いて来たものは、みんなだめだ。いい気なものだったよ。てんでなっちゃいないんだ。生活が、だらしなかったんだね。ひとりで大家気取りで、徹夜なんかしてさ。ことしから、新規蒔直しで、やってみるつもりだ。進も、ひとつ、どうだい、ことしから一緒に勉強してみないか?」
「勉強? もういちど一高を受けるの?」
「何を言ってるんだ。もう、そんな無理は言わんよ。受験勉強だけが勉強じゃない。お前の日記にも書いてあったじゃないか。将来の目標が、いつのまにやら、きまっていました、なんて書いてあったけど、あれは嘘かい?」
「嘘じゃないけど、本当は、僕にも、よくわからないんだ。はっきり、きまっているような気がしているんだけど、具体的に、なんだか、わからない。」
「映画俳優。」
「まさか。」僕は、ひどく狼狽した。
「そうなんだよ。お前は映画俳優になりたいんだよ。何も悪い事がないじゃないか。