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Japanische Klassiker mit Furigana

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パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme

Aozora Bunko

鴎が小さく海面とすれすれに飛んでいる。波は絶え間なく、うねり、崩れる。ああ、人生には、こんな一刻もあるのだ。ああ、きょうは誰にも遠慮せず、この素張らしい幸福感を、充分に味わえ! 人間は幸福な時には、ばかになっていてもいいのだ。神も、ゆるし給わん。この一日は、僕たち二人の安息日だ。兄さんは、貝殻に鉛筆で詩を書いた。

「なに?」といって覗き込んだら、

「ひめたる祈りを書いたのさ。」と言って笑って、その貝を海にほうった。

家へかえって、風呂へはいり、晩ごはんをすましたら、もう眠くなった。兄さんは、まっさきに蒲団にもぐり込んで、大鼾をかいて眠ってしまった。こんなによく眠る兄さんを見た事が無い。僕は、ひと眠りしてから、また起きて、この日記をしたためた。この三日間の出来事を、一つも、いつわらずに書いたつもりだ。一生涯、この三日間を忘れるな!

四月五日。水曜日。

大風。けさの豪壮な大風は、都会の人には想像も出来まい。ひどいのだ。ハリケーンと言いたいくらいの凄い西風が、地響き立てて吹きまくる。それに家の西側の松が、二、三本切られているので、たまらない。ばりばりと此の家をたたき割るような勢いであった。