Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
」とも言えない。それでは、まるで剣客みたいだ。もじもじしているうちに、カッと癇癪が起って来た。
「いったい先生は、いらっしゃるのですか。」
「いらっしゃいます。」にこにこ笑っている。たしかに僕を馬鹿にしているようである。あまく見ている。
「紹介状をごらんにいれましたか。」
「いいえ。」けろりとしている。
「なあんだ。」僕は、この家全体を侮辱してやりたいような気がした。
「お仕事中ですの。」いやに子供っぽい口調で言う。舌が短いのではないかと思った。ひょいと首をかしげて、「またいらっしゃいません?」
ていのいい玄関払いだ。その手に乗ってたまるものか。
「いつごろ、おひまになりますか。」
「さあ、二、三日たったら、どうでしょうかしら。」すこしも要領を得ない。
「それでは、」僕は胸を張って言った。「五月三日の今ごろ、またお伺い致します。その時は、よろしくお願いします。」屹っと少女をにらんでやった。
「はあ。」と、たより無い返事をして、やはり笑っている。狂女ではなかろうかと、ふと思った。
要するに、一つとして収穫が無かった。僕は、ぼんやりした顔をして家へかえった。なんだか、ひどく疲れて、兄さんに報告するのも面倒くさくてかなわなかった。