Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
自分まで、なんだか、みじめになったような気持がして来るのである。この人たちがきょうの、僕の競争相手なのかと思ったら、うんざりした。戦わずして、闘志を失った感じであった。僕が試験官だったら、一瞥して、みんな落第だ。僕は、自分の今朝までの、あの興奮と緊張とを思い出し、むしゃくしゃして来た。ばかにしていやがると思ったのだ。
やがて事務所から中年の婦人が出て来て、
「番号札をお渡し致します。」と言ったが、その声には、聞き覚えがあった。一週間前に電話で問い合せた時に、明瞭な発音で「午後一時ジャスト」などと言って教えたあの女性の声であった。本当に綺麗な声だったので、女優さんじゃないかと思っていたのだが、女は、声だけではわからぬものだ。茶色のダブダブしたジャケツを着て、女優さんどころか、いや、言うまい。何もその人が、あたしは美人だと自負してもいないのに、その人の顔の事など、とやかく批評するのは罪悪だ。とにかく、四十くらいの婆さんであった。
「お名前を呼びますから、御返事を願います。」
僕は三番目だった。来ていない人も、ずいぶんあった。四十人くらいの名前を呼んだのだが、出席者は約その半数である。