Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
「僕は、もうギタは、やめました。」と言ってやったら、
「そうでしょう。いいとしをして、いつまでもあんな楽器をいじくりまわしているのは感心出来ません。いや、お邪魔しました。もし、あのばかが来ましたならば。あなたからも、説教してやって下さい。」と言い残して帰って行った。
不良の木村には、お母さんが無いのだ。よその家庭のスキャンダルは言いたくないが、なんだか、ごたごたしているらしい。木村に説教するよりは、むしろ、木村の家の人たちに説教してやりたいものだと思った。木村のお父さんは所謂、高位高官の人であるが、どうも品がない。眼つきが、いやらしい。自分の子供だからといって、よそへ行ってまで、うちのばか、うちのばか、と言うのは、よくない事だと思った。実に聞きぐるしい。木村も木村だが、お父さんもお父さんだと思った。要するに、僕には、あまり興味が無い。ダンテは、地獄の罪人たちの苦しみを、ただ、見て、とおったそうだ。一本の縄も、投げてやらなかったそうだ。それでいいのだ、とこのごろ思うようになった。
七月五日。水曜日。
晴れ。夕、小雨。きょう一日の事を、ていねいに書いて見よう。