Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

小石を拾うと、止める間もなく、屋の内へ投げこんだ。

家の中で、石の弾ける音がした。しかし、読書の声は止まなかった。

「まだやっているな」

意地になって、三ツ四ツと投げこんだ。すると、墻の小門が開いて、

「悪戯をするのは何者ですか。そんなことをなさると承知しませんよ」

と、怒って出て来た者がある。

見ると、新介ではない。女である。しかも藤勝の姉にあたる由利女であった。

「あらっ? ……。姉上は、何だって、質子構えになんか来ているんですか」

「いいでしょう。来ていても」

「いけませんよ。擒人のいる囲いへなんか……おまけに、男の所へ、女のくせに」

「あなたこそ、今、何を投げたのですか」

「石さ、いけない?」

「なお悪いでしょう」

「大きなお世話」

「今日ばかりではありません。のべついろいろな悪戯をして」

「じゃあ、姉上ものべつ来ているんだな」

「お可哀そうではありませんか」

「誰が」

「新介様のことです。ですから、時折、お見舞に来て上げるのです。其方だって、もし戦に負けて、敵方へ質子となって行ったら、どんなに思いますか」

「父上にいいつけてやるぞ。こんな所へ、女のくせに、遊びに来て。