Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

こう岸本は岡に言って、やがて連立って下宿を出た。旅で逢う羅馬旧教の祭が来ていた。帽子から衣裳まで一切黒ずくめの風俗の女達が寺詣の日らしく町を歩いていた。天文台前の広場に近い町の角あたりまで行くと、並木はそこで変って、黄緑な新芽の萌え出したプラタアヌの代りに、早や青々とした若葉を着けたマロニエが見られる。

「もうマロニエの花が咲いていますよ」

と岡は七葉の若葉の生い茂って来た黒ずんだ枝の上の方を岸本に指して見せた。白い蝋燭を挿したような花がその若葉の間から顔を出していた。

「これがマロニエの花ですか」と岸本が言った。

「どうです、好い花でしょう」

「京都大学の先生がストラスブウルから葉書をくれてね、『マロニエが咲いたらなんて話がよく出たからどんな花かと思ったら、つまらない花ですねえ』なんて書いてよこした。これをけなすのは少し酷い」

一つ一つ取出して言う程の風情があるではないが、旅人としての岸本はどこか寂しいその花のすがたに心を引かれた。

「去年の今頃は、丁度僕は船でしたっけ」

と岸本はそれを岡に言って見せた。二人の足はビリエーの舞踏場の前から、ある小さな珈琲店の方へ向いた。