Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
六十二
彼は皆の言った事を考えて見て、ボンヤリしてしまった。外国人は何処までも外国人で、物の皮相にしか触れることの出来ないような物足らなさがその最初の好い印象と一緒になって起って来た。
仏蘭西に居る頃から人に頼んで日本の髪に結ったというマドマゼエルのことが、しきりと岸本の胸に浮んだ。それほど強烈な異国に対する憧憬の心を以てしても、仏蘭西を捨てて去ったマドマゼエルがどれ程まで日本人の心の奥を汲み知ることが出来るであろうか、とそう彼は想像して見た。彼はあの日本の着物を着て畳の上に坐っているマドマゼエルに、洋服を着て椅子に腰掛けている自分の旅の身を思い比べた。
「結局、自分等は芸術に行くの外はないかも知れない。芸術によって、この国の人の心に触れるの外はないかも知れない」
この考えは岸本の心を駆って一層言葉の稽古の方へ向わせた。
六十二
旅に来て五月目に、岸本は新たに父になったことを国の方からの便りによって知った。亡くなった三人の女の児を入れて数えると、最早彼は七人だけの子の親ではなかった。園子との間に設けたおもてむきの子供の外に、知らない子供が一人何処かに生きていた。