Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
百三十七
節ちゃんも大悦びサ。もう俺に随いて行くつもりで、今日なぞは荷物をこしらえていたよ――」
百三十七
自己をそこへ投出してかかった岸本がこれまで親戚に答えて来たことは極く簡単であった。輝子は岸本が告白の当時に来て言った。「節ちゃんはもう叔父さんのところへお手伝いにはよこしませんから、そのつもりでいらしって下さい」――「どうぞ」義雄が次に手紙を送ってよこした。「貴様は義絶してしまうから、そう心得ろ」――「どうぞ」岸本はこの簡単な答を今また民助に対しても繰返すの外は無かった。「貴様は心で思っていろ、節子はもう遠いところへ連れて行ってしまうぞ」――「どうぞ」
新しい住居で今一度逢おうということを約して置いて、やがて民助はそこそこに谷中の方へ戻って行った。強い悲哀が岸本の心に残った。
「父さん」
と言って繁が庭伝いに屋外から帰って来た頃は、部屋の内はもう薄暗かった。
「父さんはこんな暗いところに何していたの」と繁が訊いた。
「お引越しの支度をしていたサ」と岸本は答えた。
「僕は父さんが居ないのかと思った。こんなに暗くなるまで、燈火も点けないで――」
と言いながら繁は離座敷の電燈をひねって歩いて、鞄や柳行李などの取出してある二つの部屋を明るくした。