Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

六十八

今生きてるのが、それだけで、僕の子供はもう三人も死んでますよ」

「好い阿父さんの訳だなあ」

ランプに燃えるアルコオルの火を眺めながら、岸本は岡と一緒に国の方の言葉で話をするだけでも、それを楽みに思った。彼の下宿にはヴェルサイユ生れの軍人の子息でソルボンヌの大学へ通っている哲学科の学生と、独逸人の青年とが泊っていた。同胞を相手に話す時のような気楽さは到底下宿の食堂では味われなかった。岡はまた岸本が勧めた雑誌や新聞を展げて饑え渇くようにそれを読もうとした。

六十八

岡は岸本よりも半年ばかり先に巴里へ来た人であった。岸本が旅でこの画家を知るように成ったのは数々の機会からで。ペルランの蔵画を見ようとして一緒に巴里の郊外へ辻馬車を駆った時。マデラインの寺院の附近に新画を陳列する美術商店を訪ねた時。テアトルという町での忘年会に二人して過って火傷をした時。しかし岸本が遽に親しみを感じ始めたのは、岡の好きな日本飯屋へ誘われて行って一緒に旅らしく酒を酌みかわした時からであった。その晩から岸本は岡の胸の底に住む秘密を知るように成った。この男の熱意も、誠実も、意中の人の母や兄の心を動かすには足りなかったことを知るように成った。