Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
百九
「あの事さえ書いてないと、節ちゃんの手紙はほんとに好いんだがなあ――」
と岸本は独りでよくそれを言って見た。節子はまた以前の浅草の住居の方から移し植えた萩の花のさかりであるということなどに事寄せて、岸本が見たことの無い子供の誕生日の記念のために書いてよこすことを忘れなかった。
百九
あれほど便りをするのに碌々返事もくれない叔父さんの心は今になって自分に解った、と節子は力の籠った調子で書いた手紙を送ってよこした。長い冬籠りの近づいたことを思わせるような日が来ていた。ルュキサンブウルの公園にある噴水池も凍りつめるほどの寒さが来ていた。部屋の煖炉には火が焚いてあった。岸本はその側へ行って、節子から来た手紙を繰返し読んで見た。叔父さんはこの自分を忘れようとしているのであろうと彼女は書いてよこした。そんなら、それでいい、叔父さんがそのつもりなら自分は最早叔父さんに宛てて手紙を書くまいと思うと書いてよこした。あれほど自分が送った手紙も叔父さんの心を動かすには足りなかったのかと書いてよこした。叔父さんのことを思い、自分の子供のことを思う度に、枕の濡れない晩は無いと書いてよこした。